物書き

残っていた仕事が片付いてしまうと、まだ外は明るくて
このままスタジオでうだうだしているのももったいない
家路についていつものように本を片手にラーメンでもすするのもわびしいかと

そもそもこんな時間に仕事を片付けた感は、そんなにあることでもなくて
このまま街に出れば、サラリーマンの感覚を味わえると
といっても出勤したのは3時、たかだか3時間ほどコンピュータに向かって
流れる音楽にイコライジング、なにをもって完成なのか
不快感がなくなったところで、できあがり
ずっと不快なときは、ずっと不快退治に翻弄される、今日はあっさりできあがる
あとの文句はなんなりと、とりあえず仕事は終わったのだ

心地よい疲労感を抱えてるわけでもなく、まだまだぴんぴんしていて
お食事でもいかがでしょうか、とメールをするとパクリと食いついた
ビートルを走らせて新宿で獲捕
この先何も決めていなかったと、言われるがままにインド料理屋
でっかいナンがでてきて、周りのお客にも溶け込んで、サラリーマン気分

物書きになるのさ、とナンをつまみながら言ってみる
あー、とうなづかれてはしょうがない、続ける
デヴュー作はいきなり芥川賞さ、と上塗り
ところで何を書けばいいのか浮かばない

海、となにかひらめいたようで一人情景を膨らませるテーブルの向こうで
うみ、うみとぼくには何も続かない
自分が物書きになった情景は浮べられるのに

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