モラル

張り紙
早稲田という街も、わりと無法地帯で
ここの責任者はいるかと、その一言に多くを含ませてじいさんはやってきた
近頃、色の薄くなってしまったうちの社長、探し当てるのもめんどうなので
こんなぼくでよければ、含ませたもの、聞き流してあげようと

こんな若造にと不満の残るじいさんも、いっぱいに詰め込んできたものだから
このまま引き下がってはおさまりがつかない
わざわざ酒までひっかけてきたのにと、ぼくに向かってこぼしだす

スタジオの前の路上駐車のおかげで
夜中の清掃車が避けて通るようになり
昼間の風の溜まり場、じいさん家の前は
ごみがわんさと舞っているそうで
うまくできた話だ

じいさんは饒舌で、言葉は次から次へと流れ出す
ごみの話は、管理責任、警察、裁判、人権と義務まで膨れ上がり、最高潮に達したところで
最後の言葉は、酒でろれつの回らない口からひょろりと出てきて落ちた
それが何なのか、かたちすらわからない

路上駐車が1台と、酒の臭いと、沈黙、紙くずがひとつ

この紙くず、拾っていきますね

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