ぼくはガーナが気に入って

世間はやっぱりワールドカップで
こんな日にレコーディングなんかやろうという人もいなくて
他のスタッフもそそくさと引き上げて
ぼくは一人取り残されて、電話番

さほど興味もなかったぼくも
テレビがあるものだから、他にやることもないのでつけてみる
異様なテンションに引き込まれたところに電話が鳴って
「スタジオの予約を~」といらいらさせるトーン

どうしてこのタイミングで電話をかけてこれるのかさっぱりわからん
この非国民がと、あっという間にえせサッカーファンの仲間入り

ピザ屋の注文が殺到して
ハーフタイムに水道使用量が集中して
あらゆることを放棄してテレビの前から動こうとしない大半の国民

こんな時間でもスタジオにこもって練習に励むバンドマンはいて
これがロックな生き方さと言いたいのか
そんなに大事か音楽がと思いながら
勝手な解釈、勝手にやってろと
さっきからトイレを我慢してテレビに釘付け
腹が減ったからピザでも頼もうかと、態勢はすでに仕事放棄

後半が始まるころ、閉店時間はやってきて
スタジオから出てきたバンドマンは
控え室のテレビに異様な盛り上がり

予想通りの展開に、閉店時間延ばしてあげるのよ

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