ぼくの部屋には蟻がはっていて
小さな蟻の中でも、さらに小さな種類の蟻で
目の悪いぼくには、床にへばりつくようにしないと確認できないけれども
どうやら大群だ
壁のほうから列をなして
ぼくの部屋の中に何が発見できるというのかさっぱりわからない
とくに害も無く、しばらくはそっとしておくけれど
一向に退散する気配も無く、群れはどんどん大きくなって
布団の中に紛れ込んだ蟻は、ぼくの体で下敷きになると
苦し紛れに噛み付くようになった
さすがにあたまにきた
絨毯の上に、黒いごみを見つけたので、つまんでみると
小さなビスケットの食べかすに群がる蟻
かなりげんなりした
前日に食べの残したスナック菓子の袋は、目が覚めると蟻だらけになっていた
掃除機で全部吸い取った
透明な掃除機のごみための中で、綿埃にまぎれて
さまよう蟻には悲壮感もない
翌日には、掃除機から這い出して
再びぼくの部屋を徘徊する
やっぱりだ、悲壮感はない
全部吸い取った
殺虫剤を注入
残虐感をあじわって、少し落ち込む
今日、一匹のゴキブリが
透明なごみためでのたれ死ぬ
ぼくは今「ソフィーの選択」という本を読んでいる