近頃、たばこを吸うと内臓のあちらこちらが悲鳴をあげている
「もうすぐ、ぼくは死ぬのかも」とあたりに触れ回るが
誰も相手にしてくれない
ザビエルが日本にやってきたとき、悪魔もいっしょにやってきた
切支丹のいない日本、誘惑もできぬわと
悪魔は暇つぶしに、畑に種を蒔く
実った草は花を咲かせた
珍しげに眺める通りすがり人
悪魔はこの通りすがり人にかけを持ち出す
草の名前を言い当てられれば、草を全部やる
できなければ、魂を
賭けに負けても、ただでは転ばぬのが悪魔
草は瞬く間に日本全土に広まった
悪魔の呪いはなかなか拭い去れない
夜中にたばこを買いに行くのが億劫なのでやめた
そんな風にクールに語りたいけれども
この時間、たばこが切れるのは計算済み
寒い中、コンビニまで出かける気も起こらない
こんな状況でも悪魔のささやきは聞こえてくる
悪魔との格闘の形跡か、長めに吸い残されたたばこが灰皿にたくさんあるのだ