斜陽 太宰治

人間は、みな、同じものだ
この不思議な言葉に、イヤな言葉に
脅迫され、おびえて、この世から消えていく

ぼくには、ピンとこない

ぼくは、こたつに寝転んで、よく天井を眺めていた
まだ小学校にあがったばかりの頃
天板の枚数を数える、32枚だったような気もするけれど、もっと多かったような気もする
何度も数えて、ときには違う枚数だったり、もう一度数えなおす
そしてまたぼんやりと眺める

ぼくはどこからでてきて、どこに消えていくのかと考えた
ない頭をひねってみたところで、ますます解らなくなる
天井を眺めながら、生きていることと、死ぬことと

生まれてきてすいませんなんかではなく
ただぼんやりとした不安が大きくなる方が、恐怖だ

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