鉄道部

近頃のぼくの会社はあやしくて
上層部の動きがあやしくて

鉄道模型に手を出した
音楽スタジオがなぜに鉄道かと
やりたいことがあるならば上に立てとは言うけれど

ぼくらのささやかな音楽への情熱に
鉄道がぐるぐるめぐっているかと思うと
心中穏やかではないのだけれども

一役員の趣味に子供のように乗っかった上層部を
見ないことにする、聞かないことにする
ぼくらは大人だ、それですむ
さいわいにも詳細はぼくら末端には降りてくることはない

と思いきや
ちかごろ、暇をもてあそんでるぼくを捕まえて
あれやこれやと詳細を吐き出した
鉄道模型も技術は先端をいき、電子回路、コンピュータ制御
そんなものに興味はないかとぼくの顔色を詮索される
設計からやるのかいと、ぼくの驚きはよそに
特許を申請できれば大もうけさと話は飛躍する

興味のあるなしではなくて
レコーディングエンジニアという職種をぼくの母親よりも取り違えている
できるわけがない

近頃のぼくの会社はあやしくて
成功する会社の社長はとんでもないことを口にすると言うけれど
ぼくにはわからない

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