斜陽 太宰治

人間は、みな、同じものだ この不思議な言葉に、イヤな言葉に 脅迫され、おびえて、この世から消えていく ぼくには、ピンとこない ぼくは、こたつに寝転んで、よく天井を眺めていた まだ小学校にあがったばかり…

つげ義春とぼく つげ義春

「そういうわけで、このネジを締めるとぼくの左腕はしびれるようになったのです」 夢日記なるものが掲載されている 内容よりも日付が気になった こんなにも頻繁に夢をみるものなのかと、うらやましくなる ぼくの…

透明人間 H.G.ウェルズ

透明人間になってみたけれど、寒くてしょうがない 服を着てみたなら、靴もはかなければ 手袋はめて、帽子をかぶって、眼鏡をかけて マスクに、つけ鼻 なんとか人間らしくなった これでは透明になった意味がない…

東京タワー リリー・フランキー

どうせ、お泪頂戴の話、そんなのにぼくはやられない 「東京で、一緒に住もうか?」、で本を閉じた 何かがどっときた 深夜のファミレス、フォークでぶっさしたソーセージ片手に 余裕こいて公衆の場で読む本ではな…

蛍川 宮本輝

「光が二つくっついてんのには、てぇーだしたらあかんで、まむしやから、かまれるで」 とおかん 車で20分も走れば、きれいに建ち並ぶ住宅地の風景は一変して山と田んぼになる 街頭もなくなり、暗闇の中に川の流…