影のうちに住んでみた
この街では、夕暮れになるとジョンレノンのイマジンが流れてくる
メロディーはピアノがなぞりジョンレノンの声は聞こえてこない
安っぽい電子音がこの街の夕暮れにはしっくりとくる

窓から差し込む夕日を受けて、畳に寝転がる
何もないこの部屋でぼくはここの住人の帰りを待った
あたりはゆっくりと薄暗くなり、照明も水道も何もないこの部屋
再び暗がりと、静けさがやってくる

「そろそろ帰るよ」
暗がりの中にあらわれた自分の影に言うと
影は少し笑った

久しぶりに戻った自分の家は
ストーブがたかれ、暖かいシチューがあった
テレビから流れてくるバラエティー番組の笑い声
明るすぎる部屋の照明

ぼくも少し笑った

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