ぼくの通った幼稚園
運動場の真ん中にあるへんてこな山
ぼくの通った頃、水色はオレンジ色だった
一度、帰宅してかーちゃんのちゃりんこに乗せられて
どちらが言い出したのか、おそらく女の子の方だろう
ぼくは、かーちゃんに連れられてこの場所へ
女の子は一人で待っていた
「がんばりや」とかーちゃんは帰っていく
みんな帰った後の幼稚園、いつもと違う幼稚園
かっこいいとこを見せてやるのさと、小さな頭にもそんな本能は備わっている
「あれ、手、使わんでも登れるで」
「ほんまに?」
「ほんまや、見ときや」
ぼくは持てる潜在能力をしぼりだす
ぼくの予想をはるかに越えて加速する
そのまま激突した
けつまずいて、つんのめったわけでもなく
山の斜面に足をかけることなく、顔面から激突
スピードについていけなかった
職員室でほのぼのと見守っていた先生が、慌てて飛んできた
ぼくは大量の鼻血を出していた