果物

果物は意識しないとまったく食べる機会がなくて
出前と外食ですませるぼくは、弁当に入っているオレンジの切れ端を口にするくらいのもので

たまには果物も食べないと体がおかしくなるのではないかと
コンビにではオレンジジュースを買ってみたり
スーパーに出向くとみかんを買ってみたり
ときどき、強迫観念におそわれる

それでも、りんご、なし、桃なんてものになると、一人暮らしにはたいそうな気がしてならない
家に帰って、りんごの皮をむくなんて

腹が減ったらご飯、肉
小腹が減ったらスナックをつまんでいれば事足りるもの
もう何年もこんな生活を続けてきたせいで
果物はいったいどんな気持ちで食べればいいのかわからなくなってしまった

思い出すと
幼稚園に入園するとき、母親に連れられて先生との親子面接を受けた
好きな果物はときかれ
マンゴ、ライチ、キウイと答えた

めずらしもの好きの母親は、楊貴妃の食べた果物よと、自慢げに与えておきながら
子供らしく、みかん、りんごと答えないさいと後で注意するのだ

今日、イチゴを食べた、もうどれくらいぶりだろう
イチゴですら、めずらしい感覚
イチゴがぼくの体を健康にしてくれるのだと、一人には多すぎる1パック

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