店に入って呼び鈴が鳴っているというのに店員はなかなか現れず
テーブルはギトギトと油でてかっていて
ラーメンと餃子とライス、いつものやつで
絲山秋子という人の本を取り出して
近頃は、芥川賞をとった本ばかり読みあさる
いつかぼくも芥川賞をとってやるのさと参考までに
餃子とライスが先にやってきて
黄ばんだライスはカリカリなくせにべちょっとしている
まぁいいさと、たっぷりの酢の中に醤油を少し
腹が減っていたものだから、箸は進む
餃子は残り2つとライスは半分
まだこないラーメンに、箸を休めて
再び本を手に取るけれど
字を追ってみたところでページは進まない
さめた餃子とカサカサのライスと
遅れてきたラーメン
待つことには寛大でも、タイミングをはずされては我慢ならない
なんだこの汚いテーブルに干からびたライスに、ラーメンだってまずい
お待たせしましたの一言もなしかいなと、すべてが気に入らなくて
それでもぼくは寛大で、それ以上に小心で
とはいえ小心者にも人並みに怒りは内に秘めているもので