キミは海を眺めてすごすという
毎日、波の音を数えて日が暮れるという
誰もいない砂浜にぼくは黄色い傘をさす
小粒の雨が音もなく落ちてくる
海辺の道路に家並みは、遠く白くなってどこまでも続く
キミの家をぼくは知らない
キミの顔もずいぶんと薄らいで
キミの声だけが耳に残る
キミの好きな黄色は
夕暮れの闇に消えていき
まばらにともり始めた灯りは遠くににじむころ
ぼくは波の音を聞いた
いくつの波の音を聞いていたのだろうと
ぼくは、ぼくの日常に帰るとき
「たった、500回じゃない」という声が聞こえた
きりがいいじゃないかとぼくはつぶやく