夏になるとクーラーのなかったぼくの部屋
網戸にしていると、机に向かうノートの回りを
羽虫が這い回ったり、飛び回ったりと騒がしい

セロハンテープをハエ獲り紙のように
1匹を捕まえて羽だけを引っ付けておいた

見せしめさと、もがく虫と、ぼくの残虐をよそに
一向に騒がしさはおさまらず

気がつくと、セロテープに残された羽
さらににぎやかになった机の上に
這いずるばかりの羽のない虫がいた

ぼくのために命を落とすもの

味噌汁にアサリをほりこむときは
少し心が痛む

それほどに今やぼくは臆病だ

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