たまには仕事の話

とはいっても、昨日の続き、カーペンターズ
シリーズ化されていて、もう何度も録音させてもらっている、ピアノ弾き語り
簡単な録音などないのだけれども、ピアノは特に難しい
巨大な楽器を小さなスピーカーに収めるのは至難の技だ
ここぞとばかりに毎回、ピアノの配置を換え、マイキングを換え、試行錯誤

たかが譜面にひっついている付録CD
買った人はこの模範演奏を聞きながら、記号の表す音を探り出し、真似してみるのだ
それだけのことなのかもしれない

それでも、ものには作った人の思い入れがこもっている
ぼくは、ぼくなりの思いをこめる、ぼくの表現なのだ

今日はうまく録れたんでないか、ふむふむと自己満足しているところに
「妹はカーペンターズが好きだったんですよ」とピアノ弾きの人は言う

あらためて、仕事がえりの車の中で聴いてみる
単純なぼくは、いろんな思いをめぐらすのだ
ぼくなんかが入り込めるところではないのだけれども

課題曲は順を追うごとにアレンジも複雑になる
演奏にこめる思いが強くなるほど難易度もあがるだ

ぼくの録音技術では収めきれなかった声が聞こえたような気がする
力の限りたたく鍵盤の音を小さなスピーカは塞ぎこむ
スピーカを突き破るほどの声が聞こえたような気がする

演奏者の込めた思いを閉じ込めて、自在にスピーカを揺るがすことができたならと
録りこぼしはまだまだあるのかと
ぼくにしか聞こえてこない音を付け足して、ぼくはカーペンターズに聞き入る

最後の課題曲は妹さんが一番好きだった曲

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