いつものじいさんはいなくて
試験期間中なのか、深夜のファミレスはノートを広げた学生で
こんなにごったがえしていると、とんでもなく騒がしいのだけれども
さすがに切羽詰っているのか、ノートかじりついていて
それでも、なんとなくざわざわとした空気で落ち着かない
ひっきりなしに呼び出しベルが鳴り
こんな日にシフトに入ってしまったとウエイトレスのねーちゃんは疲れきっていて
ぼくのところにはいまだに水も置かれていない
じいさんは店内の様子をうかがって今日は遠慮したのだろう
ぼくは決まってじいさんの隣のテーブルに案内される
どれくらい居座っているのか、食事はすっかり片付いて
ハードカバーの本を机に引っ掛けて、椅子からずり落ちるように眠りこけている
じいさんを横目にピザをつまみながら、ぼくも本を読む
いつもとちがう空気に今日はすぐに店を出た
少し田舎の深夜のファミレスと、じいさんとピザと本
このところぼくは落ち着いている
今日は目覚めると雷が近くで鳴っていた