ぼくはお金が無いから
六本木に温泉ができると腹が立つ
ぼくはお金が無いから
セレブなんて言葉に敏感に反応する
ぼくはお金が無いから
銀座がきらいで
ぼくはマイクを立てて録音する
長い間かけてできるようになったぼくの技
世の中には1日でぼくの一月分の給料を稼ぐ人もいる
1日で1年分稼ぐ人もいる
1日で一生分稼ぐ人もいる
上を見れば果てしなく
それでもぼくはこの技でご飯を食べることができて
これが今のぼくの価値で
学生の頃はいろいろとバイトをやって
肉体労働は一番わかりやすい価値で
へとへとの代償にお金がもらえた
もらえるお金はわずかでも今よりも大きな価値をぼくはもっていた
六本木ヒルズではパソコンのクリックをぽちぽちと押すと、お金が流れ込む
工事現場ではボードを3枚もかかえて階段を駆け上がる
今日、ぼくはニュースを見ていた
「六本木 天然温泉、zaboo」、気分はもう六本木セレブ
「欽ちゃん球団、やめないで」と少女暴行容疑に異常な盛り上がり
世の中の価値観がわからない
「もう生きられへんのやで。ここで終りや」
「そうか。あかんか。一緒やで、おまえと」
とても悲しい