夏休み

かーちゃんに見送られれて
飛行機に乗る
かーちゃんがばぁーちゃんを嫌いなことを知っていて
ぼくとねーちゃんは夏休みになると小包のように空輸される

スチュワーデスのねーさんは優しくて
一番前の座席に座らされるぼくたちに、たくさん取っていいのよと
かごの中にどっさりのあめを取り出して
たくさん取るのははしたないとぼくは知っていて、ねーちゃんが3つなら
ぼくも3つでがまんする、はっかのあめだけは選ばないように注意する

松山空港にはばぁちゃんが迎えにきている
飛行機のおもちゃをくれたスチュワーデスのねーさんに手を振る
タクシーに乗せられて、窓の外を眺めていると
オレンジ色のラインの入った路面電車がうじゃうじゃと現れる

ばぁーちゃん家の庭は、でかい木が生い茂り、ジャングルのようで
麦わら帽子にランニングのじぃーちゃんが、よーきたなと出迎えて
はさみを持って植木いじり
石畳をつたって、池を見下ろすと鯉がパンくずをつついている

玄関をガラガラと開けると土間があり、水槽にはマリモがくるくると回っている
こんなにでかいマリモをよそで見たことがない
何度も家に持って帰るとせがんだけれども、ばぁーちゃんは譲らない

土間からよじ登るように、家に上がる
でかい家の一番奥の小さな部屋に、ひーばぁーちゃんはいる
リクライニングのベッドからちらりとこちらを向いたようで、何も言わない
手をだらりと下げて運ばれてから、ひーばぁちゃんに会うことはなくなった

ばーちゃんの寝室にはひーじぃちゃんのモノクロ写真が額に入っている
たいそう酒飲みで、金持ちだった家系を博打でぶち壊した人
酒飲んで、風呂に入って極楽気分で逝ってしまった

とーちゃんが若い頃に描いたユリの花の油絵が飾られている
とーちゃん、絵がうまい
これはぼくの記憶違いか、思い込みか、おやじは絵が下手だ
どこかで買ってきたたいそうな絵だったように思う

ばぁちゃんのベッドをぼくとねーちゃんが占領する
ばぁちゃんは下に布団を敷く
じぃちゃんはどこで寝ていたのかさっぱりわからない

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