顔は思い浮かんでいるというのに
名前が出てこない
また、死んでしまったかと
ぼくの頭の中では細胞がばたばたと倒れていく
今日は2つが倒れたようだ
頭の中をのぞくことはできないから
どれが死んでしまったのかと探りを入れることもできず
供養してあげることもできない
死んでしまったのではなくて
逃げ出したのではないかと思うこともあり
耳の穴からぽとりと落ちて足元を小走りに掛けていく細胞を想像してみたりする
夕方になってふと思い出した名前
逃げ出したのかと思ったら、もう戻ってきた
ぼくの頭の中のなにが気に食わないと問うてみると
少し眠っていただけだという