刺すような痛みがぼくを眠らせない
滑って転んで、すりむいて、痛い、子供の頃は単純だった
眠れれば直るだろうと、やつがどんよりとした重たいものに変わる隙に
うとうとしたところで、そうはさせるかととんがりを突き出してくる
仕事に行ってくるからと、家で待っていてくれないかと、頼んでいるのに
聞く耳持たず、何も言わず
一緒に車に乗り込んでくる
さすがに職場ではおとなしくしてくれている
存在はきっちりと漂わせてはいるけれど
家路に着くなりやつの色は濃くなり始め、とんがりを増してくる
昨日ほどの鋭さはもう残ってはいない
それでも散々あばれてくれた
やつの色はずいぶんと薄くなってきて
そろそろ消えてくれる頃
またくるよ、とかすかな足音を残していなくなった
久しぶり、と睡魔がやってきたところで
もう朝だ
変なのと知り合ってしまった