七福神のなかにいたような
おでこより上が不自然に長い
髪型はいがいがの坊主頭で
それほど年老いてはいないというのに優先座席に座り
こんな遅くまで何をしていたのか
つり革に立っている客もまばらな日曜日のくだり電車に
すやすやと眠る
ぼくの手のひらにぴったりとはまりそうなその頭に
吸い寄せられるように手を置いた
ヌルという感覚に頭は眉毛の上から真横に少しばかりスライド
磁石のような抵抗を感じて、そのまま鷲づかみに上に引き上げてみると
やっぱりだ
白くなった中心のみずみずしい緑は
小さな種が花火のようにきれいに並ぶ
キウイ
緑に写ったぼくの顔を少し眺めて、蓋をした
もう一度、ヌルっという感覚を味わいたくて
少しずれたところからきれいにつなぎ目を合わせる
何度も往復させてはいけない
1度のスライドでぴったりと合わせられることが
この感覚をいつまでも新鮮に保つ
キウイの頭はすやすやと眠っていられる