石油ファンヒーター

石油ファンヒーターがおかしくなった

一人暮らしというのは自由で
こたつを出すのも、ストーブをつけるのも、いつだって自由
子供の頃は、もうこんなにも寒いじゃないかと
ぶるぶる震える頃になって、かぁちゃんは灯油を注文する

ぼくは早々と冬を迎えた
こたつ布団はとっくにひっぱりだしてあって
それでもなんとなく肌寒さを感じて
ストーブをつけてみた

1年ぶりに電流を流されたストーブは
ピッという電子音をはっしたまま、それっきり

どのスイッチも反応することなく
小さなLEDをひとつつけたまま
それは、わかってますがな、という合図なのか
いっこうに動く気配もなく

そのうち全身に電流がいきわたって
明日には動き出すだろうと
こたつの中にもぐりこんだ

忘れかけていた頃に突然動き出す
ピー、ピーっと電子音を鳴らしていきおいよく点火したかと思うと
息切れしたように、静まり返って

また点火した、そして消えて、何度も繰り返して
あげく、ファンだけをまわし続けて
働いてますがなと、手を抜き始めた

こんなやつに室温管理を任せていたら
一酸化炭素中毒、知らぬ間にどこへぞと連れて行かれそうで
居眠りもできやしない

分解、掃除
10年という年月は、とんでもない埃を吸い込んで、溜め込んで
社会人になりたての頃に買ったもの
学生の頃は、毎日誰かしらが転がり込んできて
人間というのは、うっとうしいばかりか、暑苦しくて
こたつさえあれば事足りて
社会人になったとたんに、寒さはやってきた

分解、掃除
いろんな思い出を吐き出しながら
口の中は砂の味がして

すでに手遅れで
とんちんかんな行動はいっそうひどくなって
ピーピーと電子音を鳴らしながら
カチカチと点火する音は
いっこうにかみ合わず
くたびれたように静かになった

家電、パソコン修理
近所にそんな看板が立てられて
そこがキミの墓場だと持ち込んで

ずいぶんと平均年齢の高そうな店
数人のおっさんどもがパソコン、テレビに向き合って
くたびれたようでいて、目は輝いている
ぼくも、こんなところで働いて、細々やっていくのも悪くないと、ふと考えたり

対応してくれたおっさんは妙にマイペース
2,3日は待たされるのかと思いきや
あたりをつけて、半田ごてを手に部品を交換し始める
時折、あちっともらしつつ
それじゃないだろうとぼくは疑いの眼差しで

あっさりと点火した
いっきにおっさんに親近感がわいてきた
それでもタイマーの調子がおかしいと
そんなもの使わないから大丈夫だというのに
あきらめきれないおっさんに小1時間ほど待たされて

いくら?
2100円
苦笑がもれた
納得のいかない中途半端な技術料

隣ではハードディスクが、CPUがと
ちんぷんかんぷんなおやじに
それでもお構いなしに語り続ける
いつまでも続きそうな問答
ぼくより前にいた客

1件のコメント

  1. 大橋トリオ
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