セブンスター

ぼくは、どうしてレコーディングエンジニアというへんな職業を選んだのか
ときどき思う

ぼくの母親はお受験な人でした
根本は、ばかの遺伝子も強制的に知識を詰めこまれれば
私立の中学校にも入れてもらえる

大阪清風中学校に入学
6年一貫教育、男子校

ぼくは小さい頃からメカ、マシーンに興味津々
ロボットもののアニメを見ては
ガラクタをかき集めてロボットのようなものを作り上げた
一晩明けると動き出すものだと思い込んで
翌朝、がっかりする

中学生になって将来を漠然と考える
機械の道に進むことを決め、大学も東京工業大学と安易に決めこんで
かりかりと勉強

かりかりと勉強する習慣がつき、お受験な母親も口うるさく言わなくなった頃
妙な違和感を感じる

中高合わせて3000人もいる男
見渡す限り、男

小学校の友達もずいぶん久しく会っていない
会話をかわす女の人は母親と、姉

小学校のときに気になっていた女の子と話がしたくなり
久しぶりに会った彼女の髪は金髪
夕方の近所の公園
彼女はポケットからセブンスターをとりだす
優等生、人気者だった彼女
パラパラパラパラとバイクの群れの中に彼女は消えていく

この出来事からぼくの頭は大混乱
ロボットなんかつくってなにが楽しい

ちょうどギターを手にした頃、音楽で食ってやると本気で考えはじめる
それにしてもへたくそなギター

音楽雑誌で宇宙船の中のようなつまみだらけの機械の前に座るおっさん
音楽業界の仕事という本を買ってきて、そのおっさんなれる術を検討

ぼくのたどっている道、ちがっている

とにかく東京に出なければと
突然、学校辞めると言い出した息子に親はびっくり

セブンスターのせいだなんて誰も理解不可能

大学行きゃ-いいんだろうがと
物理、科学めんどくさい科目は切り捨て文系の道
一橋大学受けてやら-と親も納得
息子もイージーなら親もイージー

一橋に行っていったいなにになるなんてもう関係ない
東京に出なければ

合格するだけが目的の大学受験、そんなに甘くない
不合格

なにやってんだと思いつつ、もう受からなきゃ気がすまない
浪人

そして2回目、不合格
1年間の引きこもり、宅浪生活ももう限界
受けててよかった、慶応大学
入学

東京に出てくることが目的、大学生活なんてまったく興味もなかったくせに
レコーディングエンジニアになることなんてすっかり忘れて
1年間遊びほうける

そして大学2年、そろそろ動かねばと

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