早くメールを打たないと
どこへ向かっているかもわからないまま
ぼくは、急ぎ足で歩きながらメールを打つ
何かにせかされながらの早足は
一向に指先のボタン操作が定まらない
とりあえず落ち着こうと
バス停に発射時刻待ちのバスがいる
ちょうどよいと乗り込んで
腰を落ち着け、少々涼んだ
早速メールの続きにとりかかる
ブルンとエンジンが回り、ドアは閉じられて、バスは動き出す
どこに向かっていたわけでもないのだけれど
バスはとにかくぼくの意思とは逆のほうに動き出して
ぼくはあせりだした
メールは後回しにして、バスを降りなければと
運転席のほうに向かう
どういうわけか、バスガイドがいて、どういうわけか黒人の女性で
次で降りると言ったところで、バスガイドは無表情を崩さない
バスが停車して
いくらだと小銭を取り出しても、いっこうにバスガイドは無口
運転手はぼくが降りるのか、降りないのかといらいらしだした
突然、バスガイドがぼくの財布を奪おうとしたところで
小銭がぱらぱらと床に散らばって
それで、足りるだろうとバスを飛び出した
いったいここはどこなのだろうと、見慣れぬ景色
携帯が鳴り出した
会社の人間だ
「今どこですか」
あたりを見渡すと、いつもの風景、いつものぼくの部屋
時計の針を見た瞬間に、景色は真っ白になり
再び夢の中へ
ぼくは世界の終わりにいた
今日、ぼくは寝坊した