ピアノ弾き語り、教則本みたいな
これでもう何冊目なんだろうと、今回はサザンオールスターズで
ピアノを録っているだけで、たまにちろっと編集するだけで
出版社の人も少し顔を出すだけで
あとはピアニストの人とさし
コーヒー飲みながら
心地よいピアノの音色と懐かしい曲に浸れる仕事
ぼくの通った大学は、山奥にありながらも
湿った空気の日には、牛の臭いが漂うようなところにありながらも
湘南キャンパスと自称するぐらいで、江ノ島が近く
授業をさぼってはよく海でボーっとしていて
サザンオールスターズをカーステに流してみたり
夕日を浴びてちゃりんこを引きずる高校生カップルをうらやんでみたり
ぼくは大阪天王寺区、「なにめんちきっとんねん」が飛び交う街の男子校あがり
こんなところで青春時代を過ごすとさぞかしさわやかな人格が形成されるのだろうと思ってみたり
そんな海辺の青春を過ごしたはずの人々に大学で出会って、「なんでやねん」と思ってみたり
ピアノを聴きながら潮の香りと波の音を思い出す
サザンオールスターズはぼくには特別で
ファーストアルバムが大好きで
ここにいけばこんな音楽に出会えるのだと、ビクタースタジオに憧れて
この人に引っ付いていけばこんな心地よい音が録れるのだと
クレジットされているエンジニアの人に弟子入り希望をせまったり
ぱらぱらと崩れていった憧れだったけれども
そのころはでっかく光るものをぼく手にしていて
ピアノを聴きながら思い出す