ヘルメットをかぶった君に会いたい 鴻上尚史

騒がしい時代にぼくはひょうひょうと生まれてきた
ぼくが大学に通う頃にはそんな匂いはすっかり逃げ去って
ぼくの通ったキャンパスはとてもきれいだった
新設学部、新設キャンパス、もともとなにもないところだ

ヘルメットをかぶった人などひとりもみかけなかった

突然、頭をつるつるに剃ってきた友人がいた
アメリカがイラクに空爆をはじめた日だ
戦争に対する主張だという
ぼくにはてんで理解ができなかった

その友人とバイトの面接に行った
彼は戦争についてクールに語った
ぼくは語ることなどなかった
採用されたのはぼくのほうだった

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